タイプⅠⅠ型椎間板ヘルニアは突発的に起こります。一度に大量の髄核が脊柱管へ入り込む衝撃で脊髄は最初のダメージを受け、その後、入り込んだ髄核により圧迫されて、更にダメージを受けます。このような状態になると神経伝達系はほとんど破壊されてしまいますが、
即座に治療・手術をすれば決して回復不可能というわけではありません。脊髄に重篤な損傷を受けると、非常に短い時間の間に深部痛覚を失ってしまいます。獣医師はまず犬の傷害の程度を知るために、犬の爪先を箝子で挟み痛覚の有無を調べます。
(訳注:痛覚がある場合再び歩けるようになるのは75%ぐらい、無い場合であっても50%ぐらい)
痛覚のない状態には(1)上向性痛覚神経路の断裂から深部痛覚の欠如(回復不可能)、
(2)神経伝達だけの障害(言い換えると神経線維は生きていて即座に適切な処置、手術を施せば正常にまで回復可能)
(3)あまりにも痛みがひどいために、新たに加えた痛覚刺激に反応を示すことが出来ない(深部痛覚は正常)
これらの「深部痛覚の消失」状態を正確に区別できる方法は残念ながらありません。可能性があるなら、再検査後すぐに手術します。一般に、深部痛覚の無い状態が長く続くけば続くほど予後は悪くなります。深部痛覚の欠如が24時間以上続くとほとんど脊髄が断裂していることが調べられています。しかし、深部痛覚の有無の判断は主観によるため、
48時間以内であれば薬剤治療や外科手術を行う価値は充分あるそうです。
タイプⅡ脊髄への圧力が徐々に増加し発病。その病状は一定のパターンで進む。
神経学的な検査から、脊髄または神経根の損傷の程度、回復の可能性、適切な治療方法の目処をつけることができます。
最長の神経線維は固有受容体性感覚神経は最も圧力に対する感受性が高く、ほんの少し脊髄に圧力が加わっただけで消失してしまい、運動失調が認められるようになります。神経学的検査上、固有受容体性感覚神経の消失だけしか認められないとき、通常、予後は
非常に良好です。 次に長いのは運動神経線維でもう少し強い圧力で機能を失います。運動神経線維が中等度の損傷を受けると筋力が弱くなり不全麻痺と呼ばれる状態になります。一般に、不全麻痺の予後は良好ですが、重篤な症例では筋力と機能が完全に麻痺してしまいます。麻痺がある場合、もしいくらかでも脊髄の機能を回復させたいのであれば、
迅速かつ強力な治療、手術、薬剤療法が必要で、予後はかなり慎重を要します。
最も短い神経線維は最も圧力に強く、深部痛覚(筋、骨膜、関節、結合組織に由来)は強い力が骨や関節などにかかった時に感じる痛みです。深部痛覚の欠如は瀕死の臨床症状です。
椎間板損傷による痛み 脊髄自身には感覚神経は分布していませんが中の線維輪最外層には分布しているので、線維輪に大きなストレスがかかったり裂傷が生じると椎間板性の非常に強い痛みが起こります。痛むからといって常に椎間板ヘルニアを発症しているとは限りません。脊髄を保護している髄膜に分布している感覚神経によっても痛みは生じます。脊髄の圧迫に伴なって髄膜も圧迫されます。また、髄核による炎症が惹起されると、非常に強い髄膜痛が起こります。椎間板ヘルニアを発症し、椎間板が神経根を圧迫することによっても非常に強い痛みが生じます。
参考:The Dachshund Club of America, Inc